『トラファルガー』は、青池保子による日本の漫画作品である。秋田書店刊行の『月刊プリンセス』にて、1979年1月号から2月号に掲載された。ナポレオン戦争を舞台に、幼馴染で、敵味方同士となった同士の英仏両海軍の軍人を描く。単行本は、1986年6月に刊行。また、同じ秋田書店から出版された『魔弾の射手』(秋田文庫)と、『ノルウェイブルーの夢』(プリンセスロマンデラックス)にも収められている。作者の青池保子は、この作品を手掛けたのは、何かの本で読んだ「ネルソン提督はマルソーという狙撃手(マスケッティア)に撃たれた」という一行を読んだのがヒントであると、この本のあとがき「海と城」で記している。
ナポレオン戦争中のイギリス。フランス相手の戦争間近で、町の男たちは強制徴募で駆り出されていた。そんな中、戦列艦「トライトン(英語版)」号の艦長ユージン・ラドリックは、モンゴメリー伯爵家のレディ・アデレイドから「士官候補生(ミジップマン(英語版))」として彼の艦に乗り組む予定の弟リチャードを紹介される。アデレイドは自身の反対を押し切って軍人を志すリチャードを心配して安全な部署にとラドリックに特別待遇を頼むが、ラドリックは海軍はパブリックスクールではないとにべもなくはねつけた。肉親の心情などどうでもいい冷酷な人間だと非難するが、セント・ビンセント卿はラドリックが両親とおば夫婦及び義従兄弟の友人を暴徒に虐殺されたと彼の生い立ちを語って諭すのだった。その後、ラドリックは戦闘で負傷した友人のアーサーから、フランス随一の狙撃手であるマルソー・ニジェールのことを聞かされる。実はそのマルソーこそ、ラドリックのおばの結婚相手の連れ子であった。フランス革命直後、ブローニュのマルソーの家近くで一緒に遊んでいた2人は、蜂起した革命軍に家族を殺される。その時、革命軍の1人に父から買って貰ったばかりの短銃で冷静に狙いをつけたマルソーの姿が、ラドリックの脳裏に甦った。2人はその後、マルソーの家の執事の機転で難を逃れたが、落とした短銃を追ってマルソーは転落して行方不明になってしまい、ラドリックは命からがらイギリスに戻った。
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