『涙雨とセレナーデ』(なみだあめとセレナーデ)は、河内遙による日本の漫画。『Kiss』(講談社)にて2015年1月号から隔月で連載中。
主人公・陽菜には繰り返し見る夢があった。幼い自分と知らない男の子が一緒に雨宿りする、その夢を見た朝は決まって雨が降る。ある日、音楽の授業中だった陽菜は、気付けば夢で見る情景と同じ場所にいた。気を失っていた彼女を呼び起こしていた青年・孝章は、自分の家の庭にいた陽菜を「雛子様」と呼んで彼女の家だという御屋敷へと送り届ける。そこには、陽菜とそっくりな顔をした雛子がいたのだった。状況を把握していくうちに自分が明治40年へタイムスリップしていると知った陽菜は、繰り返し見る夢も幼いころにこの時代へ来ていた時の記憶だったのだと確信する。現代へと帰りたい陽菜は、前回と今回のタイムスリップ時に共通する『曾祖母の首飾りを身に着けていた』ことが重要ではないかと考えつくが、その首飾りは最初にいた本郷家の庭先でなくしてしまっていた。陽菜は首飾りを探すべく雛子に協力を仰ぎ、「雛子」を装って雛子の婚約者であった孝章に首飾りの行方を求める。あずかり知らぬところで次々と人手に渡る首飾りを追いかけるうち、孝章こそが一緒に雨宿りをした男の子であると知った陽菜は、自分がなりかわっている「雛子」へと向けられる彼の真摯な優しさと想いに、駄目だと自身に言い聞かせながらも心惹かれていく。孝章もまた、幼いころに一度だけ出会った少女ヒナが雛子であると誤解しているがために「お見合いの席で自分を拒絶した雛子」と「陽菜がなりかわっている目の前の雛子」に戸惑いながらもその想いを募らせていく。