『多聞さんのおかしなともだち』はトイ・ヨウによる日本の漫画作品。「ビームコミックス」(KADOKAWA)から発売。
子どもん頃。 うちには母の友人達がしょっちゅう遊びに来とったけど、わたしはたぶん、この人に一番なついていた。 うちに遊びに来る、母と母の彼女の友人達には、女の人が好きな女の人も、男の人が好きな男の人も、男の人が好きな女の人も、どっちのことも好きな人も、どちらでもない恋人がおる人もおったけど。 多聞(たもん)みたいな人はーー。 いつだって一人で、口を開けば多聞にしか見えない友達のことばかり。 妖精、妖怪、ぼうちに魔女。 人間よりも、幽霊やおばけが好きな人。 こんな妙な大人は多聞だけ。 多聞、あのおかしな人だけだった。 ★ 他の人には見えない、人ならざるものとの会話を愉しむ、妙な大人、“多聞”。 レズビアンの母達と暮らし、誰を愛しても祝福される環境で、誰のことも恋愛として愛することができないと悩む、“内日(うつい)さん”。 そして、内日さんの呼びかけに応え出現したものの、自分の名前を忘れてしまった不思議な仔、“多聞の友達”。 クィアな家庭で育ったアロマンティックの子の、繊細な揺らぎ。 自分のことを、あなたのことを、わかっても、わからなくても、ここにいるという事実を語り合うことがきっとできる、ひと夏の不思議な、大阪の物語。 ●コミックビーム 公式X(Twitter) @COMIC_BEAM