『神武』(じんむ)は、安彦良和による全編描き下ろしの漫画作品。副題は『古事記巻之二』で、前作『ナムジ』の登場人物も多く再登場する。八咫烏のモデルとされるツノミ(賀茂建角身命)を主人公とし、仮説や創作をふんだんに取り込んで神武天皇の東征を描く歴史作品。というが付けられており、『ナムジ』に始まる記紀神話(日本神話)の人物を題材とする連作に位置づけられている。
三世紀初頭。ナムジとその家族が沖ノ島に隠栖して十数年後。倭国の覇権を巡る情勢は邪馬台国が優位を得て、出雲を追い詰めるに至る。タケミカヅチ率いる邪馬台軍はナムジの末子ツヌヒコを出雲王に擁立すべく、大挙して沖ノ島に押し寄せる。家族の引き渡しを強要されたナムジは求めに応じるが、自らは海中に没して現し世を去る。父を失った上、幼馴染みを殺されたナムジの息子ツノミは密かに邪馬台への復讐を誓う。やがて邪馬台軍の猛攻で出雲は降伏し、ここに国譲りが成る。ナムジの妻子は王となったツヌヒコと共に出雲で庇護を受けるが、反抗的なツノミは両陣営から不穏分子として命を狙われ、巻向にある伯父ニギハヤヒ(オオドシ)の元へ身を寄せる。