『悪魔の寵児』(あくまのちょうじ)は、横溝正史の長編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一つ。『面白倶楽部』1958年7月号 - 1959年7月号に掲載され、角川文庫『悪魔の寵児』 (ISBN 4-04-130412-1) に収録されている。また、女性漫画家JETによりコミカライズ(漫画化)された。
1958年(昭和33年)6月18日、「雨男」が吉祥寺の本屋・日月堂に現れて葉書の印刷を依頼する。内容は一組のカップルが外遊に出るという挨拶状であったが、夫婦かと思いきや2人の姓が異なっていた。そして、そのうち何枚かに禍々しい黒枠が墨で施され、6月28日に風間欣吾の愛人たちに届けられる。風間は闇行為で巨万の富を得た元職業軍人で「戦後派の怪物」の1人である新興実業家であり、挨拶状は風間の妻・美樹子と彼女の肖像画を描いていた画家の青年・石川宏の連名になっていた。不安を抱いた3人の愛人たちが、その1人・城妙子が経営する高級酒場(パブ)「カステロ」のホステスで宏の妹でもある早苗を連れて兄妹の住居を訪れ、美樹子と宏の心中に見せかけられた現場を発見する。美樹子は既に息絶えており、宏はまだ息があった。
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