『魔の山』(まのやま、ドイツ語: Der Zauberberg, 発音: ( 音声ファイル))は、1924年11月に出版されたトーマス・マンの長編教養小説。20世紀ドイツ文学において最も影響力のある作品の一つとして広く認められている。マンは1912年に『魔の山』の執筆を開始した。それは、彼が出版の準備をしていた中編小説『ヴェニスに死す』のいくつかの側面をコミカルに再検討する、はるかに短い物語として書き始められた。新しい作品は、肺の病気に苦しんでいた彼の妻カタリーナが、スイスのダボスにあるフリードリヒ・イェセン博士の森のサナトリウムで数か月間、療養していた時の彼の経験と印象を反映している。
物語は、第一次世界大戦から遡ること10年間に始まる。物語の主人公は、ハンブルクの商家の一人っ子、ハンス・カストルプである。両親が早くに亡くなった後、カストルプは祖父に育てられ、その後、ジェイムズ・ティーナッペルという母方のおじに育てられた。カストルプは20代前半で、故郷のハンブルクで造船の仕事に就こうとしている。仕事を始める前に、彼はスイス・アルプスの高地にあるダボスの国際サナトリウム「ベルク・ホーフ」で療養をしている結核のいとこ、ヨーアヒム・ツィームセンを訪ねる旅に出る。